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モール出店

モール運営の外注は、どの作業から切り出すか

全部は任せられない。でも、何から出せばいいか分からない。

 公開 | 文:関 秀平(取締役副社長)

白い机の上に、大きさの違う白い箱が3つ並び、真ん中の箱を手で置いているところ

「モール運営 代行」で調べて見積りを取る前に、どの作業から外に出すかを決めておくと、依頼先に伝える内容がはっきりします。このコラムでは、楽天市場・Amazonなどのモール運営を外に任せるとき、先に出す作業、社内に残す作業、条件次第の作業を、理由つきで整理します。

モール運営の外注は、全部をまとめて頼むか、自社でやり続けるかの二択に見えがちです。実際には作業ごとに切り出しやすさが違い、順番を決めて少しずつ出すこともできます。複数社の見積りを、同じ物差しで比べるために書きました。

モール運営の作業を書き出す

最初にやるのは、いまの運営でどんな作業が毎日・毎週発生しているかを一覧にすることです。代行会社に「全部お願いします」と伝えても、「全部」が指す範囲は会社ごとに違います。自社の作業が書き出してあれば、どこまでを頼むのかを自分たちで線引きできます。

モール運営の作業は、おおむね次の8つに分かれます。

  • 商品登録・ページ制作(商品名、説明文、画像の登録と更新)
  • 価格とセール設定(販売価格、モールのセールやクーポンへの参加)
  • 在庫の連携(モールと自社の在庫数をそろえる作業)
  • 受注処理(注文の確認、発送準備の指示)
  • 問い合わせ対応(購入前の質問、返品・交換の連絡)
  • レビュー対応(楽天市場ではレビューへの返信。Amazonでは出品者評価への対応など、モールによってできることが違う)
  • モール内広告(モールの検索結果や商品ページに出す広告の設定と調整)
  • 出荷(梱包して発送する作業)

書き出したら、担当者の名前と、1か月にかかっているおおよその時間を横に書き足してください。時間が大きい作業を外に出せば社内の負担は軽くなりますが、時間が大きい作業が出しやすい作業とは限りません。次の表で、作業ごとに分けてみます。

外に出しやすい作業と、社内に残したほうがいい作業

分け方の基準は、手順が決まっているか、判断が要るかです。手順が決まっていれば、マニュアルを渡して別の人が同じ結果を出せます。判断が要る作業は、自社の利益や在庫の事情を知っている人でないと決められません。

作業分け方理由
出荷出しやすい梱包と発送の手順が決まっていて、物流会社に任せる形も整っているため
受注処理出しやすい注文の確認から発送指示までが決まった流れで、欠品や住所の不備などの例外の扱いを決めておけば任せやすいため
商品登録・ページ制作出しやすい商品情報と画像がそろっていれば、モールごとの入力ルールに合わせて登録できるため。文言の方針と、薬機法・景表法・モールの規約に照らした最終確認は社内に残す
在庫の連携条件次第連携の設定が済んでいれば任せやすい。設定の前は、在庫をどこで持つかの判断が先に要るため
問い合わせ対応条件次第返品・交換の方針が文書になっていれば任せられる。方針がないと、返信のたびに社内へ確認が戻るため
レビュー対応条件次第定型の返信は任せられる。厳しい評価への返信は、商品の事情を知る人が見たほうがよいため
モール内広告条件次第予算と採算の目安(1件売れたら広告費にいくらまでかけられるか)を社内で決めれば、日々の調整は任せられるため
価格とセール設定社内に残す利益、在庫、ほかのモールや自社ECとの価格の釣り合いを見て決める判断で、数字の責任が自社にあるため

一般的な目安です。商品のジャンルや社内の体制によって、分け方は変わります。

「条件次第」とした作業は、条件がそろえば順番の前のほうに来ます。たとえば問い合わせ対応は、返品・交換の方針が文書になっていれば、商品登録と同じ頃に出せる作業に変わります。方針がない状態で出すと、判断の確認が社内に戻り続けます。

価格とセール設定は、作業としては入力だけです。ただ、その手前に「いくらで売るか」の判断があります。モールの手数料や広告費を引いたあとにいくら残るかを知っているのは自社です。代行会社には決めた価格を入力してもらう形にして、価格の案を相談する場合も、決める役は社内に置いておくほうが安全です。

切り出す順番の考え方

順番は、手順が決まっていて判断の少ない作業から、判断が要る作業へと進めます。最初に判断の多い作業を出すと、依頼先から確認の連絡が毎日届き、社内の手間がほとんど減りません。目安は次のとおりです。

  • 1番目は出荷と受注処理。手順が決まっていて、出荷件数のように結果が数字で見える
  • 2番目は商品登録・ページ制作。素材と情報がそろっていれば、件数と納期で確認できる
  • 3番目は問い合わせ対応とレビュー対応。対応方針を文書にしてから出す
  • 4番目はモール内広告。予算と採算の目安を社内で決めたうえで出す
  • 最後、または社内に残すのが価格とセール設定

全部を一度に出す必要はありません。たとえば、まず出荷と受注処理だけを3か月ほど任せて、社内の時間がどのくらい空いたかを確かめてから、次に出す作業を決める進め方もあります。出して困った作業があれば、社内に戻す選択肢も残せます。

出荷を外の物流会社に任せる場合は、倉庫の選び方や契約前の確認項目が別にあります。こちらは出荷の外注先を選ぶ前の確認項目で書いています。

複数のモールを同時に動かすときの注意

楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど複数のモールで売っていると、在庫が合わなくなりやすくなります。在庫が1つしかない商品が2つのモールでほぼ同時に売れると、片方は欠品によるキャンセルになります。キャンセルが続くと、購入者の信頼にも、モール内での扱いにも響くことがあります。

在庫の連携を外に出すときは、どのモールの在庫を基準にするか、自社で持っている在庫を各モールにどう割り振るかを、先に決めてください。ここが決まっていないと、代行会社も判断のしようがありません。

モールごとの違いもあります。副社長の関には、メーカー側で、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10、au PAY マーケット、TikTok Shopの6つを立ち上げた経験があります(Play Valueとしての実績ではなく、メンバーの経験です)。その中で、審査で止まる場所や、使える画像・文章の素材がモールごとに違うことを見てきました。あるモールで通った表現が、別のモールでは直しを求められる場面は起こりえます。複数のモールを任せるなら、そのモールの出店や運営の経験があるかを、依頼先に聞いておくと安心です。

外注先に渡す前に、社内で用意しておくもの

依頼先から見積りが出る前に、次の4つを社内で用意しておくと、見積りの中身が具体的になり、始まってからの確認も減ります。

  • 商品情報の一覧:商品名、型番、サイズ、素材や成分、画像、注意書きを、表計算ソフト1枚にまとめる
  • 価格の決め方:モールごとの販売価格、値引きしてよい範囲、セールに参加する基準、最終的に誰が決めるか
  • 返品・問い合わせの対応方針:返品を受ける期間、送料の負担、返金の条件、社内に回す問い合わせの種類
  • 権限の渡し方:モールのアカウントは自社名義のまま持ち、依頼先には作業に必要な範囲の権限を渡す

4つ目は、契約前に確認しておいてください。アカウントが代行会社の名義だと、契約を終えたときに商品ページ、レビュー、販売履歴を持ち出せない場合があります。自社名義のアカウントに、必要な権限だけを渡す形かどうかを聞いておけば、乗り換えるときにも商品ページや販売の履歴が自社に残ります。権限の呼び方や設定の手順はモールごとに違い、変更もあるため、最新の内容は各モールの公式の案内で確認してください。

この4つが用意できていないときは、依頼先を探す前に、自社で作るところから始まります。手間はかかりますが、これが済んでいると、どの代行会社の見積りも同じ条件で比べられます。

Play Valueに頼む場合

Play Valueは、福岡市東区の販売支援・集客支援の会社です。モール出店の支援は、内容を伺ってお見積りします。どの作業を外に出し、どの作業を社内に残すかの整理から相談できますし、商品登録だけ、出荷を任せる倉庫選びだけ、といった一部の依頼でも構いません。内容はモール出店の支援のページに、モールに加えて自社サイトでも売る場合は自社ECの立ち上げ・運営のページにまとめています。

福岡市・近郊は、訪問の交通費をいただきません。それ以外の地域は交通費が実費で、金額は事前にお伝えします。オンラインでの打ち合わせにも対応しています。お問い合わせは、サイトのフォームから受け付けています。

よくある質問

この記事についての質問

作業ごとに頼めることが多いですが、会社によって受けられる範囲は違います。見積りの段階で「出荷と受注処理だけ」のように範囲を伝え、その範囲で出してもらえるかを聞いてください。

複数のモールで在庫がずれやすいため、窓口が1つだと連絡が早くなる利点があります。会社によって得意なモールが違うこともあり、分けて頼む場合は、在庫の基準をどこに置くかを先に決めておいてください。

対面での打ち合わせや、商品・在庫の現物を見てもらう場面では、近い会社のほうが動きやすいです。ただ、モール運営の作業の大半はオンラインで進むため、所在地よりも、任せたい作業ができるか、経験のあるモールがどこかを見て決めてください。

自社の場合はどうか、を一緒に考えます。

記事の内容について、自社に当てはめるとどうなるかというご相談も承っています。